僕とテツの物語　第2話　【子犬編】　テツを取り戻せ！

お母さんのバカ

なんでテツを

あんなやつに渡すんだよ！

僕のテツなのに

小学4年生の僕は、寂しい毎日だった。


そこへ突然現れた捨て犬のテツ。


その日から、毎日が楽しく充実していたのに・・・


その犬は俺のだから返せとヤンキーに取られてしまった、テツも僕の楽しい日常も。

僕は諦めない！

たったひとり（一匹）

の友達テツ！

取り返すんだ！

＼前回のお話はこちら／

その後のテツ

僕は夜、寝る前に泣いてやった！


お母さんへのアピールだ！テツをヤンキーに簡単に返してしまった仕返しだ。


家は6畳間が2部屋の狭いアパート、1部屋はテーブルとお父さんが布団を敷いて、もう1部屋はお母さんを真ん中に挟んで僕と兄が寝ている。


そこで、声を出して泣いてやったんだ、お母さんを困らせてやるんだ。

シーン・・・


アレ！


シーン・・・


お母さんは知らんぷり、お兄ちゃんもぐっすり。


もう一度、声を出して泣いてみる、

シーン…見事なしかとっぷり。


泣き疲れて僕も寝る。

次の日から、また寂しい登下校が始まってしまった。


でも、頭からテツのことが離れない。


よし！家に帰ったら、そっとテツを見に行こう。


アパートの裏壁をよじ登ればヤンキーのアパートが見える、壁からは20メートルほど先だが、こちら側に玄関とは逆の縁側がある、そこにテツはいるはずだ。

家に帰ってから、早速壁を登った！


遠くだが、かすかに見える、縁側につながれているテツが寝ていた。遠くからでもわかった、首輪ではなく白い古新聞を縛る紐で縛られているのが。


悲しかった。

＼子犬のテツはこれで縛られていた／

すぐお母さんに報告！

僕はテツがちゃんとご飯を食べているのかが気になって、何回も覗きにいった、お母さんもわかっていたとは思うが止めない。


夕方、僕は見てしまったんだ！


ヤンキーたちに囲まれて遊ばれているテツを。


下にばらまかれたカリカリのドックフードを食べようとするテツを、みんなで紐を引っ張って食べさせないようにしていた。


食べたくて引っ張るテツ！

それを楽しんでいるんだ！こいつらは必死でご飯を食べようとするテツで遊んでいる。


テツは食いしん坊で、食べたい気持ちが先走って呼吸も忘れてガッツク、そんな姿がかわいいと僕は好きだったのに、こいつらは！

それから数日、何回もその光景を見た、土曜日のお昼も日曜日のお昼も。


しかも、散歩も行っていないようで、縁側の前は糞尿でこっちにまで臭いが漂ってくる。


見かねたお母さんも、はしごを使って裏のアパートを覗く。

帰ってきたテツ

月曜日、いつものようにテツを覗いてみる。


ビニール紐は短くされて、ほとんどその場から動けない状態で寝ているテツの姿が。


居ても立っても居られずに壁を乗り越えてテツのところへ走って向かった！

寝ていたテツがハッと目をさます。


ブルンブルンお尻を振って僕に飛びつこうとするが紐が短くて首が引っ張られる、そしてお尻を振りながらその場をグルグルグルグル回りだした。


周りはフンだらけ、テツは自分のう〇ちを踏みつけながら回っている。体の毛にもう〇ちがついているようだった。

やはり吠えないテツ、吠え方を知らないのかな。

あまりの汚さと臭いに少し離れて頭を撫でることしかできない僕。


と、その時縁側のガラス戸が開いた！

優しいおばあちゃんだった。


なんで、こんなに優しいおばあちゃんなのに孫はヤンキーになってしまうんだろうと、頭の中で考えていたのをよく覚えている。

夜まで待っていた。


ガンガンガンガン！！


ガラス戸の玄関がガラッと開いた！


そこには、さっきのおばあちゃんとヤンキーとビニール紐で縛られたテツがいる。


ヤンキーがふてくされた顔で言う、


「俺、こいつ、もうあきたから、おまえにやるよ」


そう言ってテツの紐を僕に渡してくれた。


おばあちゃんを残してそのまま帰っていく。

成犬用のドックフードだった、カリカリのやつ。

お母さんは、とっさに家にあったお菓子をスーパーの買い物袋に詰め込んで、おばあちゃんに手渡した。

すぐ調子に乗る。

テツが
帰ってきた！！

台所の給湯器にホースをつないでお湯で洗ってあげた！

＼お母さんが買ってきてくれた犬用シャンプー／

テツはおとなしくされるがままにきれいになっていった。



もちろん洗った後はドライヤーで乾かしてあげてね。

テツはさっぱりしてから牛乳を飲み、いつもいた玄関の腰掛けにピッタリはまり寝てしまった。

犬も車に酔うのか？

どこに行くにもテツと一緒だ。


家族で魚釣りに行くことになった、車で一時間ほどの印旛沼。

＼佐倉市にある印旛沼の風景写真／

もちろんテツを車に乗せるのは初めてのこと。


家族のお出かけも、車でのドライブも僕は大好きだ、今回はテツもいるし一週間前からワクワクしていた。


いつもお母さんは行かないのに、今回はテツがいるから行くと、お母さんもはりきっている。
（お母さんが釣りに行かない理由はトイレがないからだ、男みたく、その辺でできないもんね）

運転はお父さん、助手席にお兄ちゃん、後ろに僕とテツとお母さんが乗って出発！

お尻をフリフリ、顔をナメナメ喜びをからだいっぱいに表しているテツがかわいくてしかたがない。

しかし出発して２０分がたったころテツに異変が！！

滝のようによだれがとまらない！


お母さんがタオルで拭いているけど、間に合わない！


なんだ！！


どうした！！


テツー！！

テツが暴れだす！！


抱っこしている、僕を飛び越える勢いで暴れている！

よだれまみれで暴れるテツ！！


テツが大きな声で叫んだ！！

と

同時に！！

テツのう○ちは僕の膝の上にひときれ、残りはお尻にくっついている！

お父さんは、あと少しだからがまんしろとの冷たい返事。


窓を全開にしてがまん！


印旛沼に到着して、たっぷりと水筒のお水を飲ませたら元気になった。

今日はお母さんがいて良かった！


さすがお母さんだ、なにかあったらと僕の着替えを持ってきてくれていた。


う○ちの付いたズボンとはおさらばだ！！


元気になったテツは印旛沼の周りの広い草原を楽しそうに走り回っている、やはり狭いお家より自然の中で自由に走り回る方が幸せなのかなと子供ながらに思った。


後に動物病院で聞いた犬の車酔い。

＼犬にも酔い止めがあるなんて知りませんでした／

そうして

僕もテツも

どんどん成長していく

つづく

＼ワンちゃん大好きな人必見／

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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