助けてください
こんな言葉を投げかけられたらどうしますか?
人間ならどうにかして助けようと思うはず
子供の時に見たヒーローは
困っている人全てに手を差し伸べていた
そして正義は勝と。
カッコイイ!
誰もが憧れる
私も憧れた
でもね
現実の社会ってどうなの?
それが正解なの?
正義のヒーローになりたかった中学1年生のお話です
\前回のお話はこちら/
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公園のベンチ
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初めて女子と2人で帰った、しかも憧れていた陸上部のアイドルガッキ。
上手に話ができずに落ち込んだのもつかの間、ガッキから手紙を渡されて有頂天。
テンションマックスで走る~走る~おれ~た~ち?
俺1人だ。
夕方の西日が当たるなか広げた手紙、真っ先に目に飛び込んできた言葉は?
助けてください
ワニオ君へ
助けてください
スケバンたちから呼び出しが
ありました
たぶんシメられると思います
私はなにも悪いことしていないのに
目をつけられたみたいです
怖いです
ワニオ君
私はどうしたらいいですか?
水曜日の放課後
保健室前のトイレみたい
ワニオ君にいっても仕方のないこと
わかっています
聞いてほしかっただけなので
心配しないでください
水曜日の放課後部活は休むと思います
私ひとりで行くつもりです
新垣 えみ
走ったのとビックリと恐怖と。心臓が痛くなる。
ガッキではなくて自分が呼び出しを食らっているような、何ともいえないざわざわ感と、男の子ならわかるゴールデンボールが上の方にキューッと上がっていく感覚。
深呼吸とため息ひとつ。
今日は月曜日、あした……あさっての水曜日の放課後。
もう時間がないなと考えるワニオでした。
呼び出しとは
![](https://kojo-biyori.com/wp-content/uploads/2023/05/23665644_m.jpg)
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1987年当時は今とは違い、理不尽な暴力がざらにあった。
そうでもないかな、今でも形は変われどあるのかもしれない。
- ムカつくから
- 生意気だから
- 調子に乗っているから
- ガン飛ばしたから(にらんだから)
- 気に食わないから
- 目立っているから
まともな理由なんてひとつもない。
ガッキがなんで狙われたのかは、なんとなくわかっている。
学年で目立つくらいにかわいい顔、それとFカップのお胸。は、半分の理由。
一番は、全校集会で表彰されたことだと思う。
1年生になってすぐの陸上新人選でメダルを2つとって、壇上で校長先生からねぎらいの言葉をもらい、全校生徒からは盛大な拍手喝采。
それが気に食わないのだろう。って言ってもガッキは努力して頑張ってズルなんてしてもいないし、この学校のスター選手としてみんなで喜ぶべきなのに。
呼び出してシメるってバカバカしいにもほどがあるよ。
でもそれがまかり通る学校なのは確かだ。
公園の帰り道
公園のベンチで考え込み、気がつくと辺りは暗く公園の街灯が光っていた。
それでも身体が動かない。
寒くなってきた、気温じゃない、頭から血の気が引いて寒気。
う~ん考えろ!考えろ!俺!
子供のころに見たヒーローもの、必ず正義は勝ちハッピーエンドで終わる。
だからこのストーリーにもハッピーエンドの道があるはず。
頭の遠くの方に「関係ない知らんぷり」と言う悪魔もいたのはいたけど。
でもそれはしてはイケナイ、小さい頃からお母さんがよく言っていた。
「困った人がいたら助けなさい」
実際にお母さんと一緒にバスや電車に乗っている時、座って外を眺めていると、
「ほら、あのおばあちゃんに席を譲りなさい」と怒られた。
見返りを求めずに人に尽くせと!
「お母さん!譲ったのにあの人なにも言わないよ」と言っても怒られた。
いろいろなことを考えたが、
俺が助ける!
そう決めた途端に身体の温度が上昇。
ギュッと地面を踏みしめて家に帰った。でも心臓はドキドキしている。
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夜の作戦会議
家に帰るのが遅くなってしまった。
食欲もでない、銭湯へ行く気力もない。(家風呂なし)
仕方なく台所の流し台に乗っかり、貧乏芸人のように身体を洗う。
布団に入っても眠れないし、電気をつけることもできない、四畳半にお母さん、お兄さん、私と3人で並んで寝ているので。
まだ考えもまとまっていない。
タイムリミットは水曜日の放課後、もうあしたどうにかするしかない。
まとめよう。
自分ではなく、彼女が呼び出しを食らっている。
シメられることを回避しなければならない。
眠れない、眠れないと思っていたら、朝だった。
寝たようだ!
もう時間がない。
開き直る
これしかない!
今日
スケバンに
勘弁してもらえるよう
直談判
に行こう
一応スケバンのトップの大崎は昔の友達だし、もしかしたらすんなりいくかもしれない。
お願いする理由は
「もうすぐ陸上大会があるから、ボコられると困る」
これでいいや、「陸上部の代表としてお願いします」
うんこれだ!!
一部の望みをかけて学校へ行こう!!
\スケバン大崎との話はこちら/
![](https://kojo-biyori.com/wp-content/uploads/2023/04/6年生シリーズ-スピンオフ-500x281.jpg)
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火曜日の放課後
ガッキとは、いまだに部活でも話すこともなく、見ることもないまま朝練は終わった。
午前中に届いたガッキからの手紙にも、あしたの呼び出しが怖い、シメられるのは嫌。の言葉が並んでいる。
そりゃそうだ、なにも悪いことしていない女の子が大勢に囲まれて暴力を振るわれる。しかも予告付きで。
私は朝からなんだかフワフワしているが、やることはひとつ!
とカッコつけてはいるが、ビビっている。
超ビビっている!
![](https://kojo-biyori.com/wp-content/uploads/2023/05/3848022_m-1.jpg)
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放課後になってしまった。
部活の仲間にはチョット遅れると伝えて1階の保健室前トイレに向かう。
(スケバンのたまり場)
情けないが、足はふるえるし唇は乾く。リップクリームが欲しかった。
そーっと、そーっと薄暗い女子トイレをのぞく。
シーン
誰もいない。
ドキドキもマックスだけど、一部の望みがあるもんね、「よう!ワニオ」なんて言うかもしれないもんね。
次は保健室をのぞいてみよう。
トントン トントン
「はい!どうぞ!」
おばあちゃん先生の声がした。
ドアを開ける。
「失礼します」
ビンゴ
スケバン大崎と4人のスケバンたちが保険の先生とお茶している。
ここは喫茶店ではありません、学校ですけど。
一斉にこっちを見てガン飛ばす。俺すぐに下向く。
そこで保険の先生が「どうしたのー、何かあったー、ケガー?」さすがおばあちゃん先生のほほんとしている。
そうです
ここは一部の望みをかけて
一部の望み
神様お願いします
「大崎、話があるんだけどいいかな?新垣さんのことなんだけど」
あん?
なんだテメー
誰に口きいてんだテメー
望みなんてありませんでした。
「テメーこっち来いよ」
保健室の中ではなく、女子トイレに連れていかれました。
つづく
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