ゆうえんちデート! 観覧車で告白、時空が歪む?

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俺はガマンした!
精一杯ガマンした半日も

なぜなら?

俺は女子よりも男の友情
大事にする


だからガマンした、最後の最後までは

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目次

高校デビュー

1991年(平成3年)

高校1年生

世の中のファッションは変わり始めていた、東京では渋カジというファッションがナウいらしいが、ここは千葉、まだまだヤンキーファッションがカッコイイ!

高校も慣れてきて、この10月の衣替えから、俺は変わる。

そしてモテキを迎えるのだ。

髪型はパーマ(光GENJI、諸星和己風)ほんとはリーゼントが良かったけど、お母さんに怒られるから諦めた。
色は茶髪(オキシドール&ドライヤーで脱色)みんなのオススメ。

学ラン上はノーマル(買い換えるお金なし)、さすがに長ランはダサく、いまのトレンドは短ランだけど、俺の好みではない。
短ランも度を超えてるヤツがいて、お腹をまるまる出し(中のシャツは)胸が隠れるほどしかなくボタンが3つ。
※巨乳グラビアアイドルなら似合うかもしれない、下乳見えてエロいよね。

学ラン下、これはアルバイトをして買いました、ツータックのもも太裾狭なボンタンズボン
これが俺の一番のオシャレポイント。
ここにアクセントとして、謎のしっぽキーホルダーとホームセンターで買ったウォレットチェーン(普通のでは短いためホームセンターで計り売りの、何用かわからないチェーン)

バイクのヘルメットの後頭部にもつけていたよ

最後は革靴、

つま先とかかとに鉄を打ち込む、駅のホームでみんなカッツンカッツン歩く、たまにタップダンスしているばかもいるけど、俺もやる。
地元の西友の端にある、合鍵、靴リペアの店でやってもらった、オヤジの愛想が悪いのがムカついたが、まあいい。

長くなったが、これが俺の自信満々フルモデルチェンジ。

そんな自信満々な俺に
地元の友達からヘルプがはいった
(東京の高校に行っている)
話はこうだ

クラスの男友達の彼女に
友達を紹介してもらった、
その子を好きになったらし
その子に告白するため
ダブルデートを企画してもらったという
しかしその女の子たちは仲良し

3人組なので
あぶれた1人相手してほしいと。
(ちなみにその子も彼氏なし)


俺はこの手の誘いが多い、なぜか?
俺は場の空気も読むし、人見知りをせずにだれとでも話をする
中でも女子を不快にはさせない
信頼があるからだ。
もちろんOK
フルモデルチェンジした俺の破壊力を
試すにはもってこいだ!

時は土曜日の午後
場所は
後楽園ゆうえんち

後楽園ゆうえんちのイメージ
キャラクター
ドンチャック

現在はリニューアルされ
新しいアトラクションも増えて楽しさ倍増!



いざ出陣!!

後楽園ゆうえんちで僕とあくしゅ

午後1時に後楽園ゆうえんち入り口で待ち合わせ。

学校が終わって(午前中のみ授業)千葉の奥地からすぐに後楽園駅に向かうが、確実に間に合わず30分遅刻してしまった。


俺以外はみんな東京の学校なので時間前には来てただろう。

俺は鉄のついた靴でカッチンカッチン音を立てて走った、入口の前の歩道に5人の男女が見えてくる。

走りながらも考えた、くっついてるカップルが企画してくれた人、そして俺の友達が一生懸命話している子が好きな子だな、うん、たしかにかわいい。

少し離れて立っている子、この子が今回の俺のマドンナだな!

待てよ、何かおかしい?

俺は走りながらも???

カッチンカッチン走りながらも???

「ごめ~ん、遅れてごめん」

マドンナとは


到着してわかった
こいつ
顔がデカイ
みんなと遠近感が違う
同じ場所にいるのに前に出てる錯覚
頭に浮かんだのは

栗頭先生だ!!

そうドクタースランプアラレちゃんに出てくる
2頭身の栗頭先生

とにかく顔がデカイ

真四角で中のパーツが真中によっている。

そして髪型は、バレリーナのようなグイグイと上に引っ張り上げててっぺんでお団子。

てっぺんのお団子には、毛糸で編んだドアノブカバーのようなものがかぶさっている。

いとこの家に遊び行った時、トイレのドアノブについていたのと同じだと思った。

それがまた栗頭先生のとんがった頭に見える。

俺のことばかにしている?

ある意味でここからの主役です

みんなは東京の高校、制服はブレザーだ、俺は学ラン。

俺とはまったくの正反対、髪は黒髪ロング(江口洋介風)
ズボンはビチビチストレート、ネクタイをちょっとゆるめ~のワイシャツのボタンゆるめ~の。
スカシた奴らだ!

俺の方がカッコイイだろ、と思いきや。

俺を見た女子たちが、なにやらアイコンタクトして鼻で笑った、
間違いなく鼻で笑った。

友達の友達も「学ランなんだー、へー」とばかにした様子。

心の声

おまえ江口洋介じゃないぞ!
金八先生だぞ
彼女いるからって調子にのりやがって
彼女もブスじゃねーか

栗頭も「なんかその髪型、昔のアイドルみたいじゃね、アハハ!お尻に変なしっぽついているし、フフ!」

俺、「えっ?それ褒めてるのかな?」

女子みんなで「あれだよね、天地真理てきな~」

心の声

カッチーン
郷ひろみならまだしも
天地真理ってばかにし過ぎだろ
おばさんパーマってことだろ
このドアノブカバーが!

がまんがまん、今日は友達が告白する大事な日だからがまん

「そうなんだよね~、パーマ失敗しちゃったんだよね~アハアハ」

「頭のお団子さんかわいいね、モテるでしょ」
思っていないけどおべっか使う。

女子たちの田舎者をばかにした目に傷つきながらも、チケットを買いゆうえんち入場。

苦手なアトラクション

中に入ると、友達の友達カップルがイチャイチャ見せつけながら先導。

その後ろを告白前の友達カップル、またその後ろに栗頭と俺。

顔もデカイが後ろ頭もデカイな。

カップルが友達の告白のために、距離を詰めやすい乗り物を考えているらしく俺は黙ってついてゆく。

お化け屋敷

いきなりお化け屋敷ですか?まあいい、頑張ります。

カップル出発、友達出発、俺ビビッてます。

「こーわーい⤴、私にがて⤴、先に行ってよ⤴」 これがうざいがご勘弁。

栗頭は俺を盾にして進む。背中をおっぺする手がツネッているようで痛い。

心の声

押すなよ、俺だって怖いから
人を盾にしやがって!
頭突きで飛んでいけよ!
だから押すなって、
ビビッてる姿もまったくかわいくないし

コーヒーカップ

心の声

回すなよ!
そんなに回すなー
俺は三半規管が弱いから
回すなー回すなー

回すなー
こいつ
やめてって言っているのにシカトかよ!
顔デカイのが余計に

ムカつく
う、う、気持ち悪く

なってきた

メリーゴーランド

メリーゴーランド

さっきのコーヒーカップで気持ち悪くなったことを隠しながら、

「ごめん、俺は見てるよ、手を振る係やるからさ」

栗頭はシカトして乗り込んでいった。

後楽園ゆうえんちのメリーゴーランドは二階建で迫力がある。

柵の外からの栗頭を探した、

「これにしよ⤴かわいい⤴この仔馬かわいい⤴」

心の声

仔馬かわいそうだろ
乗馬っていうより
サーカスの熊じゃねえか
小っちゃい自転車こいでる熊だろ

俺は、栗頭が前を通るたびに手振るが、やつはシカト。

シカトだけならいいが、俺の前以外はめっちゃ笑っているのに、俺の前でムスっとする。

心の声

このブス!!

ムカついたので、気分転換にトイレに行く。

トラブル発生

コーヒーカップのグルグルもあって、気持ちが悪い、するとなぜかがしたくなるもの。

和式トイレでをしたところ

やっちまった!!

便器の中に

ホームセンターで買った

自慢のウォレットチェーンが!

落ちてたー!


考えて

考えて

考えて

捨てました(涙)

フードコート

時間も3時をまわりお茶することになった、俺はお昼ご飯も食べないで急いで来たからお腹ペコペコ。

半地下のようなところに室内フードコートがある。ガラガラで貸切状態だった。

俺はガッツリ食べたかったが、実はお金があまりなく夕飯のことも考えるとセーブするしかない。

しかも、カップルも友達も女子におごっていたから厄介だ、

しょうがないので栗頭に何か食べるかと聞いたら

「紅茶とチーズケーキ食べたいな⤴」

「いいね!俺買ってくるから座ってて」

心の声

なにがチーズケーキだよ
ケーキセットで800円もするじゃん
俺はカレーが食べたかったけどお金がないから変更
なんか真っ赤な口紅も内側落ちてきて
くちびるツートンカラーになってるし

ホントムカつく

俺は先にチーズケーキを栗頭に届けて、お値段と相談しながら自分の食べ物を探す。

その前にありがとうぐらい言えよ!
栗頭!と思いながら探す。

決めました。アメリカンドッグと水。

理由はフランクフルトよりアメリカンドッグの方が衣のぶん腹持ちがよさそうだから。

俺が席に着くころ栗頭は食べ終わっていた。

心の声

おごってもらったんだから
待ってろよ
がっつきやがって



横目で俺を見て一言

「なにそれ、子どもみたいなもの食べるね」

心の声

お前がチーズケーキ食べたから
これしか買えなかったんだろ!
カレーだよ、ホントはカレーが食べたい!
カレーの口になってるんだよこっちは

久しぶりのアメリカンドッグも美味しかったから、まあいい。

告白の観覧車

夕日の観覧車

この後、いくつかのアトラクションに乗り、ゲームセンターに行ったりで、夕方になる。

もうすぐ告白ターイム!

友達が緊張しているのがよくわかった。

作戦ではこうだ

STEP
夕日

観覧車に乗る

STEP
前半

目をみつめる(大事)

STEP
てっぺん到着

愛の告白する

STEP
OKもらう

涙ぐむ(これも大事)

STEP
夕日をバック

ロマンティックなキスする

STEP
後半

いちゃつく(これが最高)

いい作戦だ!

後楽園ゆうえんちの名物、大観覧車に乗り込む。

はじめにカップル、次に友達、俺と栗頭は最後。

友達の告白を気にしながらも、自分たちも盛り上げるべく、俺はトークを試みる。

「動物とか飼っているの?」

「いぬ」

「ドラマなにみてる?」 

「東京ラブストーリー観てた」

「歌、だれ好き?」

「ビーズ」

ずっと外を見ながら、俺の方は一切見ないし、一切笑わない。

心の声

ふざけんなよ
なんだよ、このふてくされた態度は
ずっと外見やがって
顔デカイし、横顔もブスだし
がまんの限界だぞ!

てっぺんに着いたころ、俺もがまんの限界になり栗頭の逆の外を眺めて
沈黙、シーーン!

外の真っ白な東京ドームが夕日に照らされてやけに印象的だった。

後半が長く感じて、観覧車のスピードが遅くなったのかと思うくらい長かった。

沈黙って時間を変えるのか?

観覧車ってこんなにつまらない乗り物なのか?

こんなムカつく女っているのか?


真下に着いた時、やっと息が吸えた気がして、外の空気が新鮮で美味しい。

告白の結果

最後に降りた俺。

階段を降りてみんなのところへ向かうと、俺はすぐにわかった。

友達と女子との距離がさっきよりも遠く感じるし、友達の顔があからさまに暗い。

ここでは慰めるわけにもいかない、全体の空気もよどんでいるし、俺は空気を変えるべくみんなに言った。

「うん、今日は疲れた、ラーメンでも食って帰ろうか」

栗頭にムカつく気持ちを抑えて、頑張って腹の底から声を出した。

かぶせ気味に栗頭が言った

あたしは

蕎麦が食べたい


心の声

ぷっつん!!

友達の告白も失敗に終わったことで俺の役目も終わったから、爆発した!

オイ!
てめーふざけんなよブス
俺のことずっとバカにしているだろ
文句ばっかり言いやがって
なにが気に入らないんだよ


ブスなんだから
性格くらいよくしろよ
だれにも相手にされねーぞ
バカヤロー

栗頭はふてくされた顔で、ブツブツなんか言っていたが、

俺はそのまま帰った。

ブチギレた俺にも
優しさはある

顔のデカイことは

言わなかったよ

駅のホームに響く俺の靴の音

カッツンカッツンがBGMになり、夕日に照らされ、風になびく俺の茶髪パーマ、そしてちょうちんのようなボンタンにセカンドバックのように脇に挟むカバン。

間違いなく
カッコイイ


間違いなく
モテキがくる


間違いなく
俺が主役だ
(若いってバカ)

反省会

数日後、友達と2人で反省会をした。

まず俺はブチギレて帰ったことを謝ったが、友達も栗頭の態度にはムカついていたらしく、逆にあそこまでがまんしてくれてありがとうと言われた。

友達に観覧車の出来事を聞く。

彼女はずっとニコニコと楽しそうにしていたし、いろんなことを質問されたから、てっきり向こうも好意があるのだろうと思っていた。

頂上についた時に「君のことが好きだから、付き合ってください」とストレートに告白。

すると彼女は「私は付き合う気はないし、恋愛にも興味がないからごめんなさい」
ときっぱり断られた。

とのこと。


「ワニちゃん、その後の観覧車長かったよ、地獄だったよあの沈黙、後半は絶対スピード遅くなってたよね」

俺もまったく同じ事を考えてたよ!

どうやら

俺たちの観覧車だけ

時空が歪んでいたらしい


2人で大笑い!!

おしまい

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1991年
後楽園ゆうえんちの様子

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