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後悔
人生には
必ずつきまとう後悔
12歳の少年にも
人生の続く限り
なくなることのない
後悔が訪れます
\テツの物語第1話はこちら/
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\ワンちゃん大好きな人必見/
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飼い犬自慢大会
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小学5年生(11歳) 1985年
学校では犬を飼うことが流行った。
低学年の頃はアパート暮らしの友達が多かったが、だんだんと一戸建てに移り住む友達も増えて、そこにペットブーム到来。
朝のクラスではペットの話題でもちきりだ。
当然、みんな自分のペットが一番!
自慢大会だ。
クラスに友達のいなかった僕もテツのおかげで友達が増えてきた、特に仲良くなった友達が飼っている犬は、
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雑種のテツ
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ブルドッグ
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シェットランドシープドッグ
当時のクラスはお金持ちか貧乏かだった、もちろん僕は貧乏組だから拾ってきた雑種。友達は何十万というお金を出してペットショップで買ってもらったらしい。
犬に高級も階級もないとはおもうがそこは子供、お高い犬には負けたくない。
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ウチのテツはね、お座りもできるし、お手だってできるんだよ!
頭がいいんだ!けんかだって強いんだ!
けんか!?余計なことを言っちゃった、テツごめん。
放課後、空き地で待ち合わせをして誰の犬が一番強いか決めることになる。
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僕とテツが着いた時にはブルドッグが待っていた。
遠くからでもわかるその風格。
すぐに後悔。
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ワオン!ワオン!
グルグルグルグル
たるんたるんのほっぺからよだれが垂れまくっているし、鼻の頭をしわっしわにして威嚇している。キバもすんごい。
後に知ったことだが、ブルドッグとは、イギリス原産で闘牛と戦わせるために開発された犬種が先祖。強いはずだ。
テツは近づくことすらできずにシッポを巻いた(後ろ脚の間にシッポがピタッと)
次に現れたのはシェットランドシープドッグだ!
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キャイーン
ハウーン
テツよりももっと遠くのほうでお座り&イヤイヤの姿勢で歩くのを拒否。
結局戦わずしてブルドッグの勝利が確定。
さすがだ!!
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オン
オン
テツごめんね!
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ハッハッハッハウ
最高のお散歩
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5年生の秋に僕は盲腸になった。
少し前からおなかがキリキリと痛みだした、学校も休むことがあったので、お母さんに連れられ近くの胃腸科へ。
診断の結果は慢性盲腸。できるだけ早めに入院手術が必要だと言われる。
その頃にはクラスのみんなと仲もよく入院することを報告すると、すごいと意味もわからずちょっとしたヒーロー気分に。
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おれさー
来週入院するんだぜ!スゲーだろ!
手術でおなか切っちゃうんだからさ
死んじゃうかもしれないぞ(笑)
だからさ、お見舞いに来てよね!
お気楽なバカだと今は思う、みんなにはお見舞い欲しいものリストを渡した。
お見舞いに来てくれたのはたったのひとりだけ。ガンプラを持って。
自分が思っているほど周りは大した病気ではないことを知っていたのだろう。
毎日のようにお見舞いが殺到する予測を立てていただけに、ショックも大きく寂しい入院生活を送った。
手術二日目には元気になるも一週間の入院生活、退屈で仕方のない日々。
退院は金曜日のお昼になった、お母さんが迎えに来てくれて歩いて家に帰る。
その途中でお母さんが、
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テツがね
ずっとあんたを探して、クンクン鳴いているのよ
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クフーン
クフーン
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そうなの!!
お母さん!僕、帰ったらテツの散歩行ってもいいかな
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そうね
リハビリ代わりに行ってきなさい
この頃にはテツが大きくなりすぎて玄関では飼えなくなり家の外、裏側で飼っていた。
僕は家には入らずに真っ先にテツのもとへ行く。
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テツーーー!!
テツーーー!!
帰ってきたよーーー!!
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テツは体を目一杯使って喜びを表現してくれた!
ブルンブルンシッポを降ってびょんびょんジャンプして、顔をべろんべろん舐めて。
それでもまだ足りないような、その場をグルグルグルグル回りだして!
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アオーーーー!
クフンクフン
アオーーーー!
僕はすぐに思い出した。
ヤンキーに連れていかれたテツを取り返しに行った時、テツは抑えきれない喜びを体いっぱい回して伝えてくれた。
テツはいつも、僕の寂しさを吹っ飛ばしてくれる。
ひとりだけしかお見舞いに来てくれなかったことも忘れさせてくれる。
そして、平日の真っ昼間にテツと僕の二人だけで散歩へいった。
でも僕は気づき始めていたんだ、
少しずつ、少しずつ、僕はテツへの気持ちが遠のいていき、大人になっていく自分。
自分に精一杯になっていく自分。
でもテツは何も変わらなく僕を思っていてくれる、それを感じながら歩いた。
最高に幸せな僕とテツ
2人の散歩
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38年経った今も
はっきりと覚えている
テツが嬉しそうに僕を
引っ張っる姿を
\テツが暇さえあればかじっていた犬用ガム/
テツと僕の反抗期
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月日が流れテツを飼って2年になろうとしていた。
僕も小学6年生になり、毎日友達と遅くまで遊びまわったり、好きな人ができたりと充実した日々を送る。
その遊びの忙しさにテツの存在を忘れることもしばしば。
家の裏で飼うようになったことも理由の一つ、家の裏は夜になると真っ暗で怖がりの僕は苦手だったんだ。
お母さんが、電球をつけてくれたがどうも苦手。
テツの散歩もさぼりがちで怒りながらお母さんが行くことも多くなり、テツにあげるご飯もお母さん任せになっていた。
なんだか途方もない、いらだちをお母さんにもテツにも、もってしまっていたのだと思う。
反抗期だ!
自分のことで精一杯になってしまった。
それでもお母さんは僕に言う、
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あんたが責任もって面倒見るって言ったんだから
しっかり面倒を見てあげなさい!
散歩も行って、ご飯もよ!
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わかっている!
わかっているけど、みんなと同じテレビ番組も見たいし(ビデオは持っていない)疲れているから眠いし、なによりめんどくさい。
あれだけ大切に思っていたテツを僕は邪魔者のように思ってしまっていた。
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クウーン!!!
クウーン!!!
(散歩連れていって)
夜になると家の裏で大きい声を出してクーンクーンと鳴いているテツ。この鳴き声も僕にはうざったく感じている。
お母さんには具合が悪いから夜の散歩はいけないと何日も噓をついていたある夜、とうとうお母さんは我慢の限界がきてしまう。
僕はテツの散歩用リードをお母さんに投げつけられて家を追い出された!
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噓をつくのもいい加減にしなさい!
テツはあんたを待っているんでしょ!
自分のことばかり考えていないで責任を持ちなさい!
\持っていたのはこれの黄色/
まぎれもない反抗期。
ふてくされてテツのいる裏に行く。
僕がきて喜んでくれるテツ、いつものようにグルグルグルグル回って喜びを体で表現しているテツ、それもいまの僕には見えていない。
正直に言うと・・・テツを飼った時から僕はテツに勝手だった。
自分が嬉しい時はいっぱい撫でたし、お散歩もテツの行きたいように歩いた、おしゃべりもたくさんした。でも、僕が機嫌の悪い時はおしゃべりもせず、撫でもせず、テツが行きたい方向を力ずくで抑えたりすぐに家に帰ったりもした。
テツにはそのまま、ありのままの自分でいたのだと思う。
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寂しかった僕をテツは救ってくれたのに・・・
自分でもどうしていいのか
わからない
いらだちをテツに
強引にそして乱暴にリードをつけて散歩に出た。
嬉しくて楽しくて引っ張るテツ!
なのに僕は、そんなテツに腹が立ってしかたがなかった。
家を出て少し歩いたが、
無邪気に喜ぶテツへの罪悪感(ふてくされた顔でイヤイヤ引っ張られている自分)
訳の分からない苛立ち
お母さんへの反抗
急に悲しくなってきて、
脚が止まった。
というよりも僕は歩けなくなった。
脚が前に出ない。
それでも引っ張るテツ!
その時!!
首輪が外れた!
ゼイゼイ引っ張るテツがかわいそうで僕は首輪を緩めにしていたんだ。散歩に行く前に。
いや、違う。
テツがかわいそうだからじゃないよ!
どこかに行ってしまえと思っていたのかもしれない。
つづく
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ここまで読んでいただきありがとうございました。
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