人生で一度しか会わない人
何人いるのだろうか?
二度と会いたくない人もいる
会いたくても会えない人がいる
たったの数時間だが
愛しい人
迷子になった!
私は中学生の頃からオートバイに憧れ、高校生になるとすぐに免許取得、オートバイ購入のためにアルバイトを始めた。
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初めてのバイクは
ホンダNSR250R87″
夏休みの初めには、合宿でバイクの免許を取り、10月には待望のバイク購入。
バイクを買って少しの間は、バイトを休み、学校が終わるとバイクを乗り回しにいった。
いつもは決まったルートだが、その日は慣れてきたこともあり東京に向かう。
(地元は千葉県)
調子に乗って迷路のような狭い路地を走っていたら、案の定迷子になった。
一応リュックサックの中に地図が入っているが、今いる場所がわからない。
電柱の住所を見ても、道路の行先表示板を見ても、知らない土地名で何ひとつヒントがなく、
ガソリンも減ってきているし、お財布の中には700円しかない。
家に電話しようにもだれもいない、ましてやスマホなどない時代。
いままでは自転車で行ける範囲でしか行動しなかったので、まったく知らない土地で迷子になる恐怖感を初めて知る。
とにかく安全な場所を探してバイクを止めた、そこはファミリーレストランの駐車場。
はじに止めて、リュックから地図を出すが、この場所が地図のどこにあるかがわからない。
あたりも暗くなり始めて、バイクのライトで地図を見るが、どれだけ見ても探せなかった。
あまりの心細さに涙が出てきて、立っていられなくなり車の輪留めにしゃがみこんだ。
(高校1年生でこれは情けない)
この気持ち、前にも味わった気がする、たしか幼稚園のお迎えの時に私だけお母さんが来なくて、最後の一人になったことが1回だけある、園庭に先生と二人でポツンと。
お母さんが来るまで泣いていた記憶がある。
強烈に心細かった、お母さんに捨てられたと思った。
その後しばらくして迎えに来たが、いまだに覚えてるということはかなりショックだったのだろう。
もちろん何日もお母さんを許さなかった。
同じように知らない場所のファミレスでポツン。
下を向いて突っ伏していると、バイクのエンジンをフカス音が聞こえて前を向く、一台のバイクが私の目の前に!
どうしたの?
大丈夫?
フルフェイスのヘルメットから
大きな声が聞こえた
そして
サッとシールドを開けると
なんと
女性ライダーだった!!
私は「助かった」と思い、急いで立ち上がり迷子になったことを早口で言う。
すると、エンジンを止めて、ヘルメットを脱いでくれた。
しかし顔を見た瞬間・・・
優しい女性ライダー
「あっ!」
思わず声が出てしまった。
「あっ!」と言ってしまった理由。
こちらをクリックしてください!
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額の真ん中から左目にかけて大きく真っ赤なあざがあった。
肌の色がとても白いので、あざの赤色が目立つ。
きっと生まれつきのあざなのだろう。
真っ赤なほうの顔が怖い。
わかってます、私だってわかってます、声をかけて助けてくれようとしている人の顔を、バカにするような行為はダメなことぐらい。
しかし高校生です、ビックリして声に出てしまった!
すぐに「あ、あ、ご、ごめんなさい」
歳は見た目30前後のお姉さんです。
謝った私に、お姉さんは少し困った様子でニコッと笑いました。
このようなリアクションには慣れてますよ、と言わんばかりの困った笑い。
そして、お姉さんは私の地図を取りサッとページを開き「今いる場所はここだよ」と指をさすが、私にはここからどの道を通れば帰れるのかすらわからない。
私が首をかしげて涙ぐんでいると、お姉さんが突然
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私お腹空いているけど
一緒に食べない?
君、学生みたいだけど時間大丈夫?
「ご、ごめんなさい、俺、お金700円しか持ってなくてガソリンもなくて・・・」
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なんだ、そんなこと、
学生君、
お姉さんがおごってあげるよ
じゃあ、食べながら地図教えてあげるね
いまでは考えられないと思うが、当時のバイク乗りは仲間意識が強く
道路ですれ違う時は、左手で✌ピースサイン、パーキングエリアなどでは見知らぬ人と「バイク、カッコイイですね」などのバイクトーク。
バイク雑誌の数もいまの倍以上はあった。
私も信号待ちで話しかけられたことは何回もある、いまだに話しかけそうになるが時代的にNGかもしれない。
車一台分の駐車場に、バイクを二台並べて店内に向かった。
このファミレスは一階が駐車場で急で狭い階段を上がった二階がお店になっている。
お姉さんはサッサッと階段を上って行く、私も走ってお姉さんの後について上がる。
その時、やっと元の心理状態に戻って、これって恋の始まりかも、お姉さんライダーと付き合うのも悪くないと考えたが、やはりあざが気になっていた。
そんな下心を取り戻しつつ上を見上げると、目の前にお姉さんのお尻があった。
さっきまでは暗くてわからなかったが、お姉さんは細身の割にはお尻が大きかった。
上着は薄いライダージャケットで、下はビチッとしたジーパンに、バイク用のロングブーツ、カッコイイ。
身長は私より少し低いが、女性なら高い方だと思う。(私の身長175センチ)
そうお尻、桃尻などとかわいいネーミングもあるが、これはそんな生易しいものではなく、
尻相撲をしたら、一発で吹っ飛ばされそうな見事なお尻。
髪型もショートで、まるでベティちゃんみたい。
触ってしまいそうな衝動を抑えて入店。
ナポリタンスパゲッティは失敗?
お姉さんは慣れた様子で店員さんと話して窓際の4人席に座った、私もお姉さんの向かいに座って、横の席にヘルメット置く。
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さあ
学生君
好きなもの食べなさい
遠慮はいらないわよ
遠慮はする。
どうしてもお姉さんと話すたびに、あざに目がいってしまう、わるいことはわかっているが、目がいってしまうのだ。
お姉さんはそれに気付き、毎回ニコッと笑ってくれた。
その笑顔が心苦しくて、私は下を向いて話すことにした。
メニューの中で一番安いものが、スパゲッティのナポリタンで私が指さすと、お姉さんはすぐに店員さんを呼び、
スパゲッティナポリタン2つ
コーヒー2つ
を頼んでくれた。
下を向いている私にお姉さんはいっぱい話しかけてくれた。
お姉さんの乗っているバイクの話
私は返事をするたびにあざに目がいってしまう、そのたびにお姉さんはニコッと。
いまだに名前も知らないまま話は続く、お姉さんは話が上手で私の話をどんどん引き出してくれた。
合宿で免許を取ったこと、ツーリングに行ってみたいと思っていること、アルバイトのこと。
とても明るい笑顔ではきはきと話してくれた、きっと私の緊張と不安を取り除いてくれていたのだろう。
私も笑いながらお姉さんの顔を見る回数が増えていった、そしてスパゲッティがテーブルに置かれる。
お姉さんは、お箸?フォーク?と私に聞いて差し出してくれた。
いつの間にか緊張も不安もなくなり、私はフォークでズルズルとスパゲッティを食べる、お姉さんは上品にスプーンとフォークの二刀流で食べた。
ここで失敗が発覚!
口を汚さずにナポリタンを食べることは至難のわざだったからだ、本にも書いてあった、デートの時は食べてはいけないと。
ハクション大魔王のような口になってしまった。失敗
もう1つの失敗は深刻だ!
の前に
お姉さんとの話の楽しさに、いつの間にか顔のあざが気にならなくなっていた、
私の目には不思議とあざなどない普通の顔に映る、さっきまではあざを見てしまっていたのに。
あざなどまったく気にならない。
お姉さんがスパゲッティを食べる瞬間、私は、顔をはっきりと眺めた。
女優の深津絵里に似ている、お尻の大きな深津絵里、パーフェクト!!
そう、もう1つの失敗、お姉さんはお化粧してない、色気に欠けていたが、
そこをナポリタンが補った!
ホントの唇よりひと回り大きくケチャップ紅がついたお姉さんは、
エッチなお姉さんに変身していた。
思春期
↓
高校1年生
↓
好きになる
↓
エッチなこと考える
そこからは、お姉さんとどうやったら次も会えるのかを考えていた。
食べ終わって口を拭いてしまったのは残念だが、もうエッチなことしか考えられないモード全開。
私は飲めないコーヒーを飲みながらも思いついた。
お客様アンケート用紙の裏に名前と電話番号、「一緒にツーリング行きましょう」と書いて渡す。
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説明するのも難しいから
私が大通りまで先導するね
そこまで行けばわかるかな?
そう言って、お姉さんはトイレに行った。
いまだ!
お客様アンケートの裏に急いで書きました。
もともと字が汚いのに、焦っているし、興奮しているしで、読めるか読めないかぎりぎりの手紙完成。
見つからないようにズボンのポケットにしまった。
お姉さんはトイレから帰ってくると、そのまま伝票を持ってレジへ向かう、私も慌ててついて行った。
お財布のなかの700円は出そうと思っていたから。
しかしお姉さんはニコッと笑い私のお財布を抑えた。カッコイイ。
「ごちそうさまです」と深く頭を下げると、やはりお姉さんはニコッとした。
もう私にはあざなど見えない。
話は変わるが、やはり見事なお尻だ、階段を上がる時のお尻にプラスエロが加わった。
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思いのほかお姉さんはせっかちのようで、階段を下りながらヘルメットを被っている。
あれ、あれ、手紙が、手紙が!
渡す間がない。
お姉さんはすでにバイクにまたがり、エンジンをかける。
私も急いでヘルメットを被りエンジンをかける。
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私についてきてね
わかる国道になったら教える
私はそのまま行くから
じゃあ行くわよ
「て、手紙が」
チャンスは信号待ち
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こうなったら信号待ちで渡すしかない!
しかし、お姉さんが速い、え、私が遅い?違うお姉さんが速い。
車の横をすり抜けて器用に走って行く、ついて行くのがやっとだ。
1つ目の信号
やっと追いつき、ヘルメットのシールドを開けて話かけた途端に青になった。
ブオーン行ってしまった。
2つ目の信号
もうシールドは閉めずに走った。
「お姉さん!てが・・でんわ・・・」
お姉さんは気づかない
青になった。
ブオーン
3つ目の信号
必死について行って、停まるとともにグローブを外してポケットに手を入れ・・・
ジーパンがきつくて手紙が取れない、焦っているうちに、
青になった。
ブオーン
もう無理だ、大声で叫ぶしかない、次に停まったら叫んでバイクを停めてもらおう。
4つ目の信号
「よし!あそこの信号で大きい声だすぞ、こんなエッチなお姉さんと付き合うチャンス二度とないぞ!」
信号にさしかかった時、前を走るお姉さんが、左腕をおおきく振って(バイバイ)その後、左の道路を指さした。その動作を二回。
そのまま、もの凄いスピードで真っ直ぐ走って行くお姉さん。
ブオーン
私は大きい声で叫んだ
お姉さーん!
電話番号
電話番号
電話番号
電話番号
行ってしまった・・・
私は左折した後、意味もなく停まって、バイクのタンクに突っ伏した。
ため息しかでない。
「俺のばか、俺のばか、俺のばか・・・」
その後は、とろとろと車に煽られながら、見慣れた道を家に向かう。
後からもっとばかなことに気づいた、お姉さんと出会ったファミレスの場所がわからない。
そのあたりを走りたかったが、それすらわからない。
もう一度会いたい
愛しい人
きれいな顔の
お姉さん
おしまい
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