スタンド・バイ・ミー
物語の始まりは
作家ゴーディがある日
弁護士クリスの刺殺されるという
(リヴァー・フェニックス)
新聞記事を目にして
少年だった頃を
ふと思い起こす
12歳のいろいろな
心の悩みをもつ
少年たちの冒険
クリスが亡くなった原因は
昔と変わらず正義感が強いがゆえのこと
見知らぬ人の喧嘩を仲裁した時に
刺されてしまう
誰かのために
誰かを助けるために
そんなカッコイイ生き方がある
カッコよくなりたかったが
なれなかった男子の話
\前回のお話はこちら/
負けたケンカ
ここは何処?
夢を見ているのか? 何も感じない?
ドゴンッ!!
床に叩きつけられた衝撃で気がついた。
体育館だ!
頭はぼーっとしていたが、あばらの痛みがすべてを思い出させてくれた。
そうだ!奴を殴ろうとした時に後ろから誰かに殴られたんだ。
完全に床でうつぶせになって倒れた、倒れた時に頬っぺたを強く打って。
ちくしょー!!
負けない、まだ立てる、まだまだ!!
どうにか四つん這いになって見上げる、鼻血が結構な勢いで出てきてはいるが関係ない。
奴は俺の前で仁王立ちになって薄ら笑い、周りとアイコンタクトをとって思いっきり笑い出した。
後ろから殴ったチビが「アハハ!コイツ鼻血出てるぜ!」
そのアイコンタクトを見てわかった、ワル4人で俺を囲んでいる。
正直、もうダメなことはわかっていた、わかっていたけどこのままじゃカッコ悪い、この状況を5,6組の男子全員が見ているから。
とにかくこのままじゃ終われない。
目の前の奴だけはぶっ飛ばしてやる!
立ち上がろうと膝立ちになった時・・・
後ろの奴(弱いチビ)に背中を蹴られて、またバチンと手をつき四つん這い。
ゆっくり立ったらやられる、
四つん這いのまま、息を整えて。
一気に目の前にいる奴のあごに頭突きをくらわしてやった!
バコン!!
やった!っと思ったのも束の間で、全然力がでていなかった。
そのまま髪の毛を掴まれてあばらにひざ蹴り。
また四つん這い、今度は髪の毛を掴まれたまま。
もうダメだ・・・
絶対に離さない
「ごめんなさい、勘弁してください」
と言えば終わったのかもしれない。
でも言わない、そこだけは男の意地だ!
絶対に言わない、死んでも言うもんか!
奴は叫んでいる「テメー!ムカつくんだよ、謝れよ」
俺は黙って四つん這い。
横のやつにおなかを蹴られ、後ろの奴に背中を蹴られ、反対の横の奴はケツを蹴った。
前の奴は髪の毛を掴んだまま、強く揺さぶる。
髪の毛を掴まれているから、倒れられない、半身になっている俺を2~3メートル引きずってから強く投げ飛ばした。
ビタンッとまた床に強く叩きつけられる。
そのまま寝ていようか、どうしようか迷っていた。力は入らないけど、実際、気は確かだったから。
床の冷たさが熱をもったほっぺを冷やしてくれたので気持ちが良かった。その感触は今も忘れない。
ワルたちは笑いながら倒れている俺を睨んでいる、奴も俺を睨んで「謝れよ」と叫んでいた。
やっぱり俺はダサいのかな、一発も殴れないまま負けるのか。
嫌だ!そんなにカッコ悪く負けるのは嫌だ!
もうどうなってもいい!!
決めた!!
四つん這いに戻って、前の奴の脚をつたって、膝間づいたまま胸ぐらを掴んだ。
奴の胸ぐらを掴んだ!
掴んだといっても、そこにぶら下がっていると言った方が正しいかもしれない。
でも両手でしっかり掴んだ、奴の胸ぐらを。
どんなに殴られても、蹴られても、
絶対!
絶対に離さない!!
奴の胸ぐらを絶対離さない!!
奴は怒り狂ったように殴ってきた!
顔を2発、3発と殴る、もたれかかっている俺のおなかに膝蹴りも、髪の毛を掴んで俺の掴んでいる胸ぐらを離そうと必死に殴り続けた。
後ろの奴も俺を離そうと髪の毛を引っ張る。
俺は離さない、もたれかかったまま殴られ続けた。
いい加減殴られ続けると、不思議と気持ち良くなってくる。初めて知った。
遠くの方で、ずっと遠くの方で、ガツン、ガツンと音は聞こえている、でも痛みは何も感じない、あばらの痛みも、髪の毛を掴まれている痛みも。
ただ、ほわ~んと気持ちがいい。
目も見えている?おかしなものが俺には見えていた、奴の胸ぐらを掴み、奴にもたれかかっているはずなのに、奴と奴の胸元しか見えないはずなのに。
俺が見えていたのは!!
体育館の天井
俺にはずっと
体育館の天井が
見えていた
救いのその手は?
「テメー!離せよ!離せっていってんだろ!」
奴は殴り続けた。
体にはまったく力が入らないが、胸ぐらを掴んでいる両手にだけはしっかり力がはいっている。
力が入るというより、固まっていると言った方が正しいのか。
殴られながらも、俺は死後硬直しているのかと思って、恐怖心に襲われてみたり。
でも目が見えているから大丈夫と、自分に言い聞かせて安心してみたり。
実際に何発殴られたのか、どれくらいの時間殴られているのかはわからない。
とてつもなく長い時間に俺は感じていた。
まったく痛みは感じない。ふわふわと夢見心地。
ガツン ガツン という衝撃もどんどん遠くにいってしまう。
「離せよ!離せよ!」という奴の声もどんどん遠くにいった。
でも、急に
怖くなった。
なぜ怖くなったか、今でもハッキリ覚えている。
それは!
急激に体が寒くなったから。
さっきまで痛くもなくふわふわと気持ちよかったのに、気温なんてまったく感じていなかったのに。
寒いというか悪寒、そうだ悪寒、体の芯からゾクゾクと震えてしまうような。
これってこのまま死んじゃうのかなって思った時。
真っ先に考えたのはお母さんのこと。
俺がいなくなったらお母さんはどんな気持ちになるんだろうか、いつも口うるさくて、「早く起きなさい」「早く食べなさい」「忘れ物は」「まったくあんたはバカなんだから」と言う相手がいなくなっちゃう。
お父さんもあまり家には帰ってこない、兄は社会人で家のご飯を食べることはほとんどない。
俺のために、俺のためだけにお母さんは、いろんなご飯を作ってくれている。俺がいないときはお新香とご飯だけ。
俺がいなくなったら、お母さんが栄養失調になってしまう。
俺はまだお母さんと一緒にいたい。
そう思った時に、
怖くて
怖くて
怖くて仕方なくなった。
怖くて
怖くて
見えている体育館の天井がオレンジになって、茶色になっていき。
白くかすんだ。
自分でわかった、黒目がまぶたの裏に隠れていくのが・・・
何もわからなくなった。
体育館の照明が、
光っていた照明が消えた!
あれ!
あれ!
温かい!
なんだろう、すごく安心感のある温かさ。
ほっとできる人の温もり?
すごく幸せな温もり、包み込むような人の温もり。
「大丈夫か?」
遠くで誰かが言っている。
「大丈夫か、しっかりしろ」
ハッとして!
目を開けた。
村井が俺を抱きかかえていた。(体育教師)
つづく
\苦い経験の後は甘いクッキーはいかがですか/
昭和レトログッズ
本物は高くてなかなか手が出ませんがミニサイズなら大丈夫
大人なら出来ます
ガチャガチャフルコンプ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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