スタンド・バイ・ミーに憧れて ケンカの行方 中学2年生 <最終話>

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子供の頃

よくケンカをした

泣いたほうが負け

戦意を失ったほうが負け

負けるとわかっていて挑むこともある

負けることが怖いんじゃない


ケンカをした意味が

なくなるのが怖いだけ

大事なのはケンカをした意義だ!

不器用に戦った男子の話



\前回のお話はこちら/

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目次

給食の時間

お母さんと別れて学校へ向かう。


お母さんがあまりにも手を振っていたので、遠回りだけど裏道の遊歩道を通って。


今はマンションなどが立ち並んでいるが、当時は小さな町工場が並んでいた。


プレハブ小屋のような事務所、バチバチと音と光を出している溶接機、グイングイン火花を散らしているグラインダー(金属を研磨する道具)。


工場に響くチリリリリンというアラームで、今、12時になったことがわかった。汚れた作業服の人たちが首にタオルを巻きプレハブ小屋に流れていく。


ちょうどいい、休み時間だとげた箱で誰かに絡まれるのもめんどくさいから、給食中に教室に戻ろう。



青色のジャージズボンに白のビロビロ襟に血のシミが着いたシャツ、ハチに刺されたような顔に腫れてところどころ切れた唇。自分なりに1番気になったのは、匂い。


病院で手当をしてもらった時に貼られたシップがとにかく匂う。やたらとデカイシップをあばらに貼られたからだ。(絶対に今のやつより昔のシップは臭いと思う)
こりゃめちゃくちゃくっさいぞ。


このニオイがまた痛々しく、みんなに同情を引いているようで嫌だった。がどうしようもない。


給食の時間に流れる軽やかな音楽と放送委員会の放送を聴きながら、誰もいないげた箱で靴を上履きに履き替えて二階の教室に向かう。



シーンと静まり返った廊下を歩いて、教室のドアの前に立つ。


ちょっと顔はカッコつけながらもふてくされた表情で、ドアを一気に勢い良く開けた。


ガラガラーバコン!!


みんな一斉に注目。


静まり返った中、一人の女子が駆け寄る




ワニオ君!
大丈夫?


ネネだった!!

\ネネとのなが~い思い出話こちら/










それ以外の奴らは俺のハチに刺されたような顔をみて、バツの悪そうな顔をしている。


特に男子は。


花谷も俺に何か言いたそうだったが、俺のふてくされた表情をみて黙っていた。


俺はシカトして自分の席へ。


担任の嫌いな先生が駆け寄り「あら、大丈夫なの?給食食べられる?」
お前、他人事だな。


花谷が給食を持ってきてくれて、ネネは牛乳をくれた。メインは魚のフライだったと思う。これが最悪!


ソースがしみる~!口の中もそこら中切れていたから。ガッツリ涙目。



これはカッコ悪いから、食べるのをやめた。牛乳だけにしよう。






おなかぺっこぺこだったけど仕方ない。


5時間目のホームルーム

5時間目は急遽ホームルームの時間になった。


先生が冒頭に話した議題は2つ。


  • なぜ、いじめられていた花谷を全員で助けなかったのか?
  • なぜ、やられているワニオを全員で助けなかったのか?


くだらない!
そんなもんだろう。



俺が話に参加する理由もなかったから、机に突っ伏して寝る。


隣の席に座るおとなしい女子に「終わったら起こしてくれ」と頼んで。


隣女子は小学校から一緒、そのころからおとなしい娘だ。


卓球部に入っていて、朝練終わりの汗をかいている姿がかわいかったかな。


恒例のお胸に関してはノーコメント!


俺とは正反対の性格なので接することはほとんどない、どちらかというと俺を嫌っていたに違いない。



隣の席の女子!!


この時は

後に結婚することになるとは思いもしなかった。

イメージ




殴られ過ぎていたからか、お母さんのもとで泣き疲れていたからか、うつらうつらと寝てしまった。


時おり目はさめる、その時、聞こえてきたのは、女子の声。


「すごくシップ臭い」「私たち関係ない」「男子だけで話してください」


女子は鬼だ!! 


起きるのに起きられない状況になっていた。誰か心配しろ。


最後は先生が「次にこのようなことが起こったら、みんなで立ち向かえ」と言ってまとめたが、できるわけないだろ。






やっと授業が終わり、今日は部活を休んでまっすぐ帰る。

夜の学校

部活がないとお母さんより家に帰るのが早い、おなかぺっこぺこなのでとりあえずは何か食べよう。


いつもなら定番のペヤングソース焼きそばだが、給食でソースがNGなことはわかっている。


仕方なくテーブルの上に無造作に置いてある菓子パンを食べる。

クリームパンを牛乳と一緒に流し込み、また寝てしまった。




お母さんが帰ってきた音で目が覚める。「ただいまー」


「あんた、大丈夫だったの?ほら、元気でるようにこれ買ってきたから食べよ」


お母さんが買ってきてくれたものとは!

ハムカツだった!!


だから、ソースがしみるからダメだって言っているだろ!!
いや、言っていない。


トンカツではなく、ハムカツ。少し特別なことがあるとお母さんは買ってくる。


それと、コロッケ、メンチカツ、イカフライ。


ソースもケチャップもしみるって!!









お父さんは帰ってこない、お兄ちゃんは社会人で帰りは遅い。お母さんと2人の食卓。


お母さんが仕事を始めてから、お惣菜が多くなった気がする。時には朝早くにカレーやナポリタンスパゲッティを作っていてくれたこともあるが、疲れているのはわかっていた。


せっかく買ってきてくれたから、痛みをがまんして食べるよ。


お母さんはコロッケの半分だけ自分のお皿に置き、それ以外全部おれのお皿に盛った。
ビニール袋にもらってきたキャベツは無料だ。


うちが裕福ではないことはわかっている。


実は俺、噓をつく。


6年生くらいからかな、一口食べて「これマズイからお母さんにあげる」と噓をつく。


そう言わないとお母さんは余ったものとお新香しか食べないから。

大人になった今もそうだ。一人暮らしの母の元で食事をごちそうしてもらうと、私の前におかずが並び母の前にはお新香しかない。80歳近くなる今も50歳近くなる息子にそうする。そして、今も私は噓をつく「これ嫌いだからお母さんにあげる」






夜も7時過ぎて食事が終わり、ゴロゴロしていると。



突然電話が鳴った。


お母さんがでる!


学校からだった、すぐに来てほしいと担任。俺に暴力を振るった奴らはすでに集められていると。


「お母さん!俺は行かない!何も悪いことはしていないし、奴らと話すこともないから、いく必要がない」


と、がんとして動かない。お母さんもわかってくれて、「いきません」と電話をきった。


勝った!

何回も電話がくる。その度にお母さんは謝りながら「申し訳ありません、ワニオが話すことはないと言っているので」


それでもお母さんは、俺に何も言わずに電話をきる。


また電話が鳴る「わかったよ、お母さん、いくよ」
これ以上お母さんに謝らせるわけにもいかず諦めた。


車の免許取り立てだったお母さんの運転で学校に向かう。ボロボロの中古軽自動車で。


車の中でお母さんに言ったんだ。


「俺は一言も話さないから、お母さんも話さないでくれ」


とにかく俺は話をしたくはなかった。


「あんたがそれでいいならわかったわよ」


会議室のようなところに通された。初めて入る部屋だ。


そこには俺に手を出した4人とその親がいた。後ろから後頭部を殴ったヤツはおばあちゃんと。


かなりの時間待っていたようだ。


なにかおかしな空気!


相手の親はこちらに敵対するような目で見ているのに、奴らは下を向いたまま。俺を見ようともしない。


なんだ、この感じ?


担任が俺に聞く「話は彼らから聞きました、何か言いたいことはありますか?」



その言葉にかぶせるように「なにもありません」


そして、校長、担任のおばさん先生、相手の担任が


「それでは、お互いさまということでよろしいですね」と終わらせた。










お互いさま???


むこうで奴らの親が担任と大きな声で話している、「この子たちはむやみに暴力を振るような子たちじゃないのは私がよくわかっているから」と奴らの親に言っている。


俺に担任が言った「ワニオさんから手を出したんでは仕方ないわね、あの子たちも自分を守らなくてはいけないから」


お母さんと目を合わせて、
「帰ろう」


帰りの車でお母さんが言った。


「お母さん、わかっているよ」


バカな生徒にバカな先生、真実がねじ曲げられる世の中(学校)






助手席から夜空を眺め。


涙がこぼれた。


甘いクッキー

あいつらは4人で話を合わせて噓をついたのだろう。


俺から手を出しての正当防衛だと。花谷のいじめはどこいった?こいつらが女生徒(ガッキ)にも悪質な暴言を吐いていたことを知っているか?このバカ教師ども!
お前の前だけだぞ猫かぶっているのは!


悔しいが、俺は何も話さないと決めたから。



もうどうでもいい。


と思った時!


家の扉をたたく音がした(インターホンがなく、すりガラスの扉)


ガチャンガチャン!

「夜分遅くにすみません。花谷の母です」


お母さんが扉を開けると、そこには花谷と花谷のお母さんが立っていた。


「うちの子を助けていただいて、そのうえケガまでさせてしまい大変申し訳ございません。この子から聞いて、シップを貼るほどの大きなケガをしているようだと。自分の代わりにワニオ君がやられてしまって、自分は何もできずに見ているだけだったと家で泣いてました、ダメな子です。ワニオ君には本当に感謝しています。お母さん、どうしたらワニオ君のような勇敢な子になるのでしょうか?まったく情けない話です」


と、玄関先で泣きながら話をした。後ろに立っている花谷も下を向いて泣いている。


「あら、ワニオは当然のことをしたのよ、お気になさらず」


俺のことをお母さんは誇らしげに話す。




俺は満足だった。


すべてがぶっ飛んだ気がして。


花谷のお母さんは、深く深く頭を下げてこれを受け取ってくださいとおいていった。

\苦い経験の後は甘いクッキーなどいかがですか?/

初めて見るクッキー!まあるいカンカンに入っている、しかも中身が二段。なんと欲張りなつくりだ。


こんな美味しいクッキーを食べたことがない。


お母さんと一緒に牛乳を飲みながら食べた。









その後、奴らはいっさい俺たちのクラスの男子をいじめることはしなかった!もちろん俺にも近寄っては来ない。


なぜか?


あいつらは親の前、先生の前ではいい子ちゃんでいたいために噓をついた。それを俺が覆すことをしなかったから、後ろめたさを感じたのだろう。










俺は勝った!




スタンド・バイ・ミー
に憧れて
勇敢で正義感の強い男
になりたくて・・・




そして長い一日が
終った




おわり



昭和レトログッズ
本物は高くてなかなか手が出ませんがミニサイズなら大丈夫
大人なら出来ます
ガチャガチャフルコンプ

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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